作品評

性別二元制と異性愛至上主義に囚われた『性別のない世界の話』の薄っぺらさ

Twitter上で右腹(@sgin001)という同人作家が発表した『性別のない世界の話』という漫画が、4万件以上のリツイート(いいねは13万件以上)を経て私のTLに流れてきた。 『性別のない世界の話』というくらいだから、てっきりクィア理論やジェンダーフリーの…

『けいおん!』が“志向”するアセクシュアリティと、「処女萌え」の“消費”

アセクシュアリティ(無性愛)は「性的指向」のパターンとして位置づけられるが、本稿は『けいおん!』の登場人物のセクシュアリティを分析したものではなく、作品自体のテーマや世界観を読み解く意味で、表題ではあえて“志向”という言葉を用いた。 『けいお…

『けいおん!』に「政治的正しさ」を押しつける“意識のお高い”馬鹿ども

https://twitter.com/yokoching/status/607380686136344577 艦これ、けいおん、ラブライブ、アイマス、これら全部、日本でしか許されていない性的変質者の愛玩文化ってことを理解しておいた方がいい。クールジャパンとかかわいいは正義とか、何を言っても未…

あらためて問う。「同性愛」を“治療”するとはどういうことなのか?〜きただりょうま『μ&i みゅうあんどあい』(2)

前回: 《ゲイ治療》の“可能性”を肯定する「ディストピア」は作者自身の差別意識の反映にすぎない〜きただりょうま『μ&i みゅうあんどあい』(1) http://d.hatena.ne.jp/herfinalchapter/20150315/p1 その後『μ&i』においては「恋愛少数派(セクシャル・マ…

《ゲイ治療》の“可能性”を肯定する「ディストピア」は作者自身の差別意識の反映にすぎない〜きただりょうま『μ&i みゅうあんどあい』(1)

(2015年3月19日 加筆修正) きただりょうま@4/3 μ&i 3巻発売 @R_Kitada https://twitter.com/R_Kitada/status/573065449673342979 今日発売のジャンプSQ.4月号にμ&i第11話が載ってるようです。色々はっちゃけてる回ですが、よろしくお願いしますー 今年3月…

百合好きが異性愛至上主義を批判するのは《百合が好きだから》ではない。

(2016年12月29日 加筆修正) 前回: 「禁じられた世界」という記号性に「百合ぷる」を閉じ込める「(自称)百合スト」の異性愛至上主義 (2013年12月25日 加筆修正) http://d.hatena.ne.jp/herfinalchapter/20130217/p1 以前、当ブログで取り上げた@nazo_n…

レズボフォビアとバイフォビアを再生産する「文学」の装い〜雛倉さりえ『ジェリー・フィッシュ』

今週末に公開される金子修介監督の新作映画『ジェリー・フィッシュ』が女同士の恋愛をテーマにしているというので、その原作である小説を読んでみた。主人公の女子高生【宮下夕紀】と、その恋人で嗜虐癖をもつバイセクシュアルの【篠原叶子】の儚い恋模様と…

「漫画の都合」で〈被差別者〉を振り回す『聲の形』大今良時インタビュー

(註 連載開始前の読み切り作品を読んだ時点の感想であり、連載およびアニメ版や実写版を含めたその後の展開については述べていません。あらかじめご了承ください) 前回: 障害者を“記号化”する健常者の「レイプ・ファンタジー」〜大今良時『聲の形』 http:…

『R18!』はなぜつまらないのか

ぷらぱ『R18!』は、『かなめも』や『落花流水』で知られる芳文社の4コマ誌「まんがタイムきららMAX」の主力作品の一つである。私が同誌を定期購読するようになったのは『かなめも』のTVアニメ化が決定した時期(2009年春)だったが、その頃からす…

【ネタバレあり】障害者を“記号化”する健常者の「レイプ・ファンタジー」〜大今良時『聲の形』

(註 連載開始前の読み切り作品を読んだ時点の感想であり、連載およびアニメ版や実写版を含めたその後の展開については述べていません。あらかじめご了承ください) 【衝撃作】 週刊少年マガジン(12号)の特別読切「聲の形」(こえのかたち)は必読です。とにか…

「禁じられた世界」という記号性に「百合ぷる」を閉じ込める「(自称)百合スト」の異性愛至上主義

(2013年12月25日 加筆修正) なぎこ@百合愛づる姫君?@nazo_nagon_ https://twitter.com/nazo_nagon_/status/299156417376550912 ところで先日話題になった百合表紙のカメラ目線について思ったことをイラストにしてみた。業界の人にぜひ見てほしい。百合スト…

「コバルト」新人賞の“ヘテロセクシズム(異性愛至上主義)”的百合小説〜桜田エミ『お嬢様のお守り袋』

『マリみて』の新刊が今月末に出るという。何か具体的な情報は得られないものかと思い、書店で「Cobalt」(2012年5月号 集英社)を手に取ったところ、たまたま「第157回コバルト短編小説新人賞」の結果と、その入選作品が掲載されていた。 入選作品は桜田エ…

差別表現は「倫理」の問題に非ず〜石田大喜『実らない花』

特種東海製紙株式会社が主催するペーパーアートの大会「紙わざ大賞」の第21回入賞作品が、今月15日から17日にかけて東京・銀座の十字屋ホールにて展示されていた。 http://www.tt-paper.co.jp/kamiwaza/ http://www.tt-paper.co.jp/kamiwaza/pdf/21_shinsa.p…

「ゲイ映画評が浮き彫りにする「ヘテロ男」のホモフォビアと、その正当化のレトリック

「映画がもっとおもしろくなるハリウッドチャンネル」内 『甘くなくて厳しい「シングルマン」は腐女子&BLものに一石を投じる』 (著:森直人) タイトルを見て「また紋切り型のBL叩きか」と思いきや。その内容はもっと酷い。 ジャンルで言うとボーイズ・…

『ベスト・キッド』をダシに「母子家庭差別」を正当化する映画評論家

前田有一の超映画批評『ベスト・キッド』より抜粋(強調は筆者) なお「ベスト・キッド」は、母子家庭の限界をさりげなく描いたドラマでもあり、男の子を育てるために父性は絶対に必要なのだという、きわめて保守的な思想をもつ作品である。オリジナルでは女…

一ノ瀬文香イメージDVD『Seku-Mai』

『ヒミツノトキ』に続き、グラビア・アイドルの一ノ瀬文香が自身のセクシュアリティである《レズビアン》をコンセプトに制作したDVD『Seku-Mai』を観た。タイトルは言うまでもなく「セクシュアル・マイノリティ」の略である。 とはいっても発売は昨年の11…

一ノ瀬文香『REAL BIAN』登場人物リスト&ストーリー・ダイジェスト

(2014年12月24日 更新)「漫画ゼロワン」で配信中の『REAL BIAN』(原作:一ノ瀬文香 作画:水戸雫)が第13話をもって終了し、いったん区切りがついたところで、登場人物と各エピソードの粗筋をまとめてみました。末尾には総評も加えてあります。「漫画ゼロ…

一ノ瀬文香イメージDVD『ヒミツノトキ』

レズビアンのグラビア・アイドル一ノ瀬文香が、週刊誌でのカミング・アウト後に初めて出したイメージDVD『ヒミツノトキ』を観た。ちなみに通算としては9作目に当たる。 約1時間の本編では、ロリータ系アイドルの高見沢ちぃを相手に、女同士の恋愛模様を描い…

ゲイが読む「やおい」

以下のページを加筆修正しました。 ゲイは腐女子よりも“偉い”のか?〜桃井アロム『ゲイ恋リアル』 しばらく入手困難だったのが今年の3月にようやく文庫化された、ゲイ団体「ピアフレンズ」代表・石川大我の著書『ボクの彼氏はどこにいる?』(刊:講談社)…

サンデー毎日の「ゲイ映画」紹介記事

「サンデー毎日 2009年4月12日増大号」内 『映画も人の世も最初に「道」を切りひらく「誰か」が存在する』 (P36 著:木下昌明 刊:毎日新聞社) かつて映画の主人公に、観客(筆者)は安心して同化しラブシーンにうっとりしたものだが、近年、男同士や女同…

百合漫画アンソロジー「つぼみ」創刊

袴田めら『最後の制服』、石見翔子『スズナリ!』、真田一輝『落花流水』などの百合漫画で知られる芳文社の「MANGA TIME KR COMICS」から、百合漫画のアンソロジー「つぼみ Vol.1」が刊行された。 総勢15名もの作家が参加しており、版型はA3ながらページ数…

『まりあほりっく』アニメ化に寄せて

本屋をぶらついていたら、「月刊声優グランプリ」(2009年1月号 刊:主婦の友社)というアニメ情報誌の表紙に井上麻里奈の名前があった。 それほどアニメを観るほうではないので、基本的に声優にはあまり興味がないのだが、井上麻里奈はデビュー作『コゼッ…

今更ながら、「キングギドラ」のホモフォビア歌詞を検証する。

いちいち真面目に取り上げるのも大人気ないとは思うのだけれど、書いている本人はいたって大真面目だったりするかもしれないから、あえて“ダメ出し”しておく。 「ENJOY MAX」なる雑誌(刊:笠倉出版社)の『日本最強アーティスト列伝!!』という特集記事の中…

『タンタンタンゴはパパふたり』出版記念パーティー@東京・新宿2丁目「九州男」

新宿2丁目のゲイバー「九州男(くすお)」で行なわれた、アメリカの絵本『タンタンタンゴはパパふたり』の日本語訳出版記念パーティーに足を運びました。 雄ペンギンの同性カップルを描いた作品で、ニューヨークのセントラル・パークにある動物園で実際に起…

MSNの映画特集に『富江 最終章』

MSNで現在公開されている『今見たい“旬の女優16人”出演映画徹底ガイド』という特集記事の中で、宮崎あおいが取り上げられており、『富江 最終章 〜禁断の果実〜』も紹介されているのですが――あまりにもデタラメな解説にがっかりしてしまいました。>ある日…

あらきかなおのコミック版『おとボク』を読む。

(2007年11月5日 追記) 文章の内容を自分に都合良く曲解し「Ossie様もすでにおとボクの魅力はおわかりのご様子。」などと勘違いする気色の悪いバカがいて非常に不愉快なので、削除しました。

オディロン・ルドン展覧会「ルドンの黒」@東京・渋谷「東急BUNKAMURA」

レインボー祭りの前に、渋谷の「東急BUNKAMURA」で開催されている、オディロン・ルドンの展覧会「ルドンの黒」に足を運びました。百合漫画と同じくらい妖怪漫画が好きな僕にとって、 ルドンは水木しげると並ぶ妖怪絵師です。とくに気に入っているのは、あのタ…

『幻想クイーンVol.1 ホラー・ヒロイン』

「恐怖とSF幻想世界のヒロイン情報誌」を謳う『幻想クイーン』というムック本が出てまして(刊:あおば出版)、そのVol.1は『ホラー・ヒロイン』と銘打たれ、アイドルが主演した和製ホラー映画を特集しています。表紙に安藤希と宮崎あおいの名前があり、「…