『タンタンタンゴはパパふたり』出版記念パーティー@東京・新宿2丁目「九州男」

 新宿2丁目のゲイバー「九州男(くすお)」で行なわれた、アメリカの絵本『タンタンタンゴはパパふたり』の日本語訳出版記念パーティーに足を運びました。

 雄ペンギンの同性カップルを描いた作品で、ニューヨークのセントラル・パークにある動物園で実際に起こった出来事を元にしています。昨年、自らレズビアンであることをカミングアウトして参議院選挙に立候補した、元・大阪府議会議員の尾辻かな子氏が翻訳に携わったことも話題の一つ。版元はレズビアン雑誌『カーミラ』やゲイ雑誌『バディ』などといった同性愛関連の書籍を刊行するポット出版です。

 イベントでは、尾辻氏を初めとした関係者の挨拶に続き、尾辻氏、もう一人の翻訳者である前田和夫氏、そして「ラブピースクラブ」代表の北原みのり氏によるトーク・ショーが行なわれました。
 その中で北原氏が発した「動物の行動を人間に当てはめた話は嫌い」という言葉が印象に残っています。なんでも、ある動物学者がオランウータン特有の「レイプ行為」を指して、「人間に近いDNAをもったオランウータンの間でレイプは自然な行為なのだから、人間の男性が女性をレイプするのも自然なことだ」といった旨の発言をしたのだとか。
 それを聞いて僕は、ネット上で「動物の世界ではアルビノのような奇形は虐待の対象になる。だから同性愛者のような“異常な存在”が差別されるのは仕方のないことだ」と主張していた人がいたのを思い出しました。
 このように科学は、犯罪や差別を正当化するのに都合良く用いられる場合があります。しかし“動物の間で自然な行為”とは、見方を変えれば人間にとっては「畜生並み」の行為とも言えます。たとえそれらが「生まれつき」であるとしても、人間の意志によって制御することができる以上、正当化することはできません。
 科学的根拠のない「迷信」は論外ですが、科学を後ろ盾にして既存のモラルを相対化する思想にも、じゅうぶん用心する必要があるでしょう。

 ……と、まぁそんな堅苦しい話は抜きにして、ファンタジーとして読めばほのぼのとした優しい物語です。ただ、お国柄の違いゆえ絵のタッチが妙に写実的なので、流行の「萌え絵」に慣れた今時の子供たちの目には、ちょっと「怖い」と感じられてしまうかも。

 ちなみに絵本の中では触れられていませんが、現実世界の方では後日談があり、ペンギンの片割れはけっきょく雌とくっついてしまったんだとか。動物の間では、“ホモセクシュアル”というよりむしろ“バイセクシュアル”が多いそうです。
 このように「同性愛的な行動」、すなわち生殖を目的としない同性間の性的行為は、人間だけでなく幅広い動物の間で確認されています。しかし、それらが人間の同性愛者と同様に「恋愛感情」を伴ったものであるかはわかりません。そもそも、人間以外の動物に「恋愛感情」があるかすらまだ判明していないわけですから。したがって、動物の「同性愛的な行動」を人間の同性愛者にパラフレーズするわけにはいかないのです。