百合漫画アンソロジー「つぼみ」創刊

 袴田めら『最後の制服』、石見翔子スズナリ!』、真田一輝落花流水』などの百合漫画で知られる芳文社の「MANGA TIME KR COMICS」から、百合漫画のアンソロジー「つぼみ Vol.1」が刊行された。

 総勢15名もの作家が参加しており、版型はA3ながらページ数は306もあって、一迅社の百合漫画専門誌「コミック百合姫」よりも分厚い。『くちびる ためいき さくらいろ』『GIRL FRIENDS』の森永みるくや『BLUE SEED』の吉富昭仁といった、百合好きにはお馴染みの名前もあり、版元の力の入れようが伝わってくる。さらに、とらのあなゲーマーズで本書を購入すると、特典として別々の内容のメッセージ・ペーパーが付く。

 しかし、残念ながら中身は期待はずれ。ありきたりな設定に先の読めるストーリー展開。片やファンタジー仕立ての作品は、どれも自己完結していて意味不明だ。号を重ねるごとにクオリティが向上している「コミック百合姫」と較べたら、全体的にかなり見劣りがする。

 とくに酷かったのは、大朋めがね『ついでのはなし。』。「百合」に男性キャラクターを絡めるのは構わない。だが、なぜここまで「男」を“醜悪”に描く必要があるのだろうか? 異性愛を貶めることで<百合=同性愛>の“純粋さ”や“美しさ”を引き立てるやり方は、つまるところ異性愛至上主義の裏返しでしかない。

 双葉社「コミック・ハイ!」で連載中の『GIRL FRIENDS』が好評の森永みるくも、エロ作家時代に逆戻りしたかのような露悪的なホモフォビア表現にがっかりさせられた。もとより好き嫌いがはっきり分かれる作家で、上述の『くちため』が某有名レズビアン・ブロガーから言いがかりとしか思えないバッシングを浴びた際には、僕もサイト内にて擁護論を展開したことがあったけれど、さすがにこの出来ではフォローのしようがない。