【思想館】よ、ゲイを社会から“排除”しているのはお前だ。

<1>
反省しない腐女子とBL作家たち:ボーイズラブホモフォビア
http://www.shisokan.jp/hansei-joseigaku/fujoshi/

<2>
24時間テレビでの性的少数者の表象と抗議者の問題
http://www.shisokan.jp/hansei-joseigaku/24-tv/

<3>
女性専用車両というホモフォビア:ゲイを排除する女性専用車両
http://www.shisokan.jp/hansei-joseigaku/josei-senyo-syaryo/

第1回:
「思想館」の“怪文書”は腐女子バッシングに見せかけたホモフォビアの正当化にすぎない
http://d.hatena.ne.jp/herfinalchapter/20130713/p1

第2回:
【思想館】の腐女子バッシングは自己を「腐女子」に投影した近親憎悪にすぎない
http://d.hatena.ne.jp/herfinalchapter/20130714/p1

第3回:
「複合差別問題」を理解しない【思想館】が説く《差別の度合い》
http://d.hatena.ne.jp/herfinalchapter/20130715/p1

<1>においては

 差別は複合的で、男が女を差別していると一律のものではなく、多数派の女たちが少数派の男を差別している深刻な問題がある。

……として腐女子を槍玉に挙げる【思想館】であるが、一方で《女性差別》の問題については、女性専用車両を《ゲイ差別》にこじつけた<3>においておそるべき「鈍感さ」を晒す。

 女性専用車両には様々な批判があるが、女性専用車両はゲイの排除によって成り立っているという批判をほとんど聞いたことがない。「男」が痴漢をする可能性があるから女性専用車両が必要というのは、女に痴漢をする気もおきないゲイのことを全く考えていない。痴漢をする男と同じ男に見えるからといって、男にしか性的指向が向かないゲイも「男」という区切りで分けてしまうことの暴力性に気が付いていない。

 女子高生や女子大生に「痴漢をしないで!」と言われて強引にチラシを手渡されて、それを拒否しようとしても「男」であるから絶対にそのチラシを受け取らなければならないゲイのことを考えると、ゲイ差別の根は深い。

 女子高生たちが「なくそう痴漢」などと書かれたタスキを掛けて、駅の構内で痴漢の撃退法などが書かれたチラシを配っているという報道もされている。「なくそう痴漢」というタスキで痴漢のチラシをゲイに配れば、まるで「なくそうゲイ」というゲイの存在の抹消にも受け取れる。女子高生や女子大生などの駅構内での痴漢のチラシ配りは、「この世の中にはゲイはいないし、ゲイがいない世の中にしてしまおう」とする空恐ろしいことまで浮かんでくる。

〈被差別者/非当事者〉〈多数派/少数派〉の関係性は固定されたものではなく、文脈によって流動しうる。《ゲイ差別》の文脈においては〈被差別者〉であり〈少数派〉であるゲイも、男性である時点で《女性差別》の文脈においては〈非当事者〉であり〈多数派〉である。おそらく【思想館】が<2>の中で「障害者」と「性的少数者」を例に取って言いたかったのもそういうことではないだろうか。

しかし【思想館】の硬直した頭では、それこそ〈ゲイ=被差別者〉〈女性=差別者〉という《単線的な差別の捉え方》しかできない。馬鹿の一つ覚えのように、社会生活のあらゆる場面にその二項対立的図式を当てはめようとするのである。

加えて【思想館】は、痴漢の問題を女性だけの問題に矮小化する意識を露呈している。

とんでもない錯覚だ。【女に痴漢をする気もおきないゲイ】【男にしか性的指向が向かないゲイ】であっても痴漢被害が社会に存在する事実から目を背けることは許されない。なぜならば痴漢および《女性差別》は女性の問題ではなく社会の問題であるからだ。

すなわち【思想館】は、ゲイの“理解者”を装いつつも――先に見たとおり【思想館】の言に倣うのであれば《ゲイ差別》を批判することは《ゲイ理解》ことの表明を意味するのだから――そのじつゲイを体よく社会から隔離しているにすぎないのである。

そも「痴漢をしないで!」というメッセージによって“排除”されうるのは、文字通り痴漢とその予備軍だけである。

男性異性愛者である私が、女性から《「なくそう痴漢」というタスキで痴漢のチラシ》を配られたとしても、痴漢加害者に対する怒り(そして痴漢被害を“なくす”ことのできない無力感)を覚えこそすれ、女性を逆恨みする気持ちになどまったくならない。またゲイ当事者の間からも女性専用車両が《ゲイ差別》であるなどという主張はついぞ聞いたことがない。

当たり前だ。女性専用車両はゲイの排除によって成り立っているという批判》など、あまりに馬鹿馬鹿しいから馬鹿しか口にしないだけだ。

名前も名乗れない【思想館】がいかなる立場から物を言っているのかは明らかでないが、ゲイをダシに使いながらも、そのじつ痴漢被害者を“他者化”し、痴漢加害者に“憑依”する心根の人間であることはたしかである。

しかも女性たちが「なくそう痴漢」と主張することは「なくそうゲイ」“受け取れる”のだという。あまりにもアクロバティックな論旨展開で、もはやギャグの域に達しているが、これでも【思想館】の脳内では精一杯“論理的”に思考しているつもりなのだろう。

馬鹿のくせに頭の良いふりをしていないで、まずは日本語の文章を素直に読む習慣から身につけたらどうだろうか。