【拡散希望】《レズビアンを男とキスさせる動画》を拡散するLGBTメディア「GENXY」の責任を問う

(2016年1月7日 タイトル変更)

現在、YOUTUBE上で「The Human Experiment」なる団体が「Lesbians Try Kissing Men」なる「実験動画」を公開している。レズビアンの女性を男性と接吻させ、その未熟で“ぎこちない”反応に「萌える」という、きわめて下劣かつ差別的な動画である。

またこれに先立ち同団体は、「Gay Men Try Kissing Women」と題して、ゲイ男性に女性と接吻させるという同趣向の「実験動画」も公開していた。

これらの動画が《同性愛者差別》を目的としたものであることは論を俟たないが、あろうことか日本のLGBTメディア「GENXY(ジェンクシー)」はそれらの差別性に何ら言及することすらなく、あろうことか肯定的な論調で紹介しているのだ。

以下、私が「GENXY」宛に送信した抗議メールを転載する:

* * *

はじめまして。ブロガーのオッシーと申します。ブログ「百錬ノ鐵」を通して、メディア上の差別表現に対する検証と批判を行っております。

さて昨年の大晦日、先日貴サイト「GENXY」上にて下記の記事が掲載されました。

レズビアンとノンケ男子がキスしたら…?(動画)
December 31st, 2015
http://genxy-net.com/post_theme04/1231315l/
 
もし、レズビアンとノンケ男子がキスしたら…どんな感じになると思う?
 
そんな実験動画を、YouTubeチャンネル「ヒューマンプロジェクト」が公開した。
 
レズビアンとノンケ男子がペアになり、お互いキスするという動画。本来、惹かれることはない異なる2人がキスすると…果たしてどうなる??
 
ぎこちないやり取りの中、キスをする姿は男女ともにキュート。
 
ちなみに、この動画のゲイ版「ゲイとノンケ女子がキスしたら…?」も公開しているので、こちらも合わせてチェックしてみて。

そこで当該の動画を実際に確認したところ、どのような経緯および意図に基づいて制作された作品であるかはわかりませんが、レズビアン(非異性愛者)に対して男性(異性)との擬似恋愛的行為(接吻)を要求するという趣旨の「実験」について、形の上では強制性は見受けられず、終始“和やか”であるとの印象をもちました。

しかしそれを踏まえた上で、当該の動画および記事はレズビアンに対する偏見と差別を行使・煽動する、きわめて深刻な「ヘイトスピーチであると判断します。

まず当該の記事には《本来、惹かれることはない異なる2人》とあります。しかし現実のレズビアン当事者の中には、男性との恋愛や性行為の経験を有する人も少なくありません。そこへきて《本来、惹かれることはない異なる2人》という表現は、レズビアンに対する一面的な認識やイメージの固定化に繋がります。

また作品の表層的な印象以前に、そもレズビアンに対して男性との擬似恋愛的行為(接吻)を要求し、あまつさえそれを《ぎこちないやり取りの中、キスをする姿は男女ともにキュート。》として肯定する行為は、レズビアンに対して《男性を愛すること》を要求・期待する現代社会の異性愛至上主義の社会構造を肯定するメッセージを流布するものです。

元より男性異性愛者向けのポルノグラフィにおいて、レズビアンと設定されるキャラクターが、しばしばレイプなどの暴力的な手段によって男性との性行為を要求される表現は一つの典型となっています。

当該の動画は、そのような暴力的・直接的手段こそ用いていませんが、【男性との恋愛および性行為の経験が未熟であるとされるレズビアンの女性(先述のとおりそれ自体が偏見でありステレオタイプの再生産にすぎません)】に対して、あえて男性との擬似恋愛的行為(接吻)を要求し、なおかつその際のレズビアンの“ぎこちない”反応にエロス(かわいらしさ)を見いだすというものです。

これは男性異性愛者向けのポルノグラフィにおけるレズビアン差別の表現、およびその嗜虐的な趣向をソフティケイトしたにすぎず、レズビアンに対する異性愛至上主義に基づいた性的搾取・性的消費を肯定するという機能性に何ら変わりはありません。

また問題の動画に関連して、レズビアンをゲイ男性に置き換え、異性(女性)との擬似恋愛的行為(接吻)を要求する動画も公開されており、貴サイトはそれも同様の肯定的な論調で紹介しています。

ゲイとノンケ女子がキスしたら…?(動画)
December 29th, 2015
http://genxy-net.com/post_theme04/1229215l/
 
もし、ゲイとノンケ女子がキスしたら…どんな感じになると思う?
 
そんな実験動画を、YouTubeチャンネル「ヒューマンプロジェクト」が公開した。
 
動画は、ゲイとノンケ女子がペアになりキスをするというシンプルな内容。お互い緊張しながらも、ぎこちなくキスする姿は見応えあり!
 
中には、初めて女子とキスしたというゲイ男子も…!
 
ある女子は「すごく素敵なキスだったけど、、全くもって性的興奮がないのは不思議だわ!」とコメントしている。
 
この動画のレズビアン版「レズビアンとノンケ男子がキスしたら…?」も公開しているので、こちらも合わせてチェックしてみて。

もっとも一般的なポルノグラフィの中で、ゲイのキャラクターが女性との性行為を要求されるという表現はあまり見受けられません。その意味でレズビアンに対する差別表現の問題をそのまま当てはめることには無理があります。

しかし現実社会においては、やはりゲイ男性もまた、異性愛至上主義の社会構造によって異性(女性)との恋愛や結婚を要求されている現実があります。

したがってこのような動画、およびそれらを批判しないどころかむしろ肯定的・積極的に紹介する貴サイトの一連の記事は《同性愛者差別》を行使・煽動する「ヘイトスピーチとして位置づけることができます。

加えてそれは、あくまでも《差別表現》および「ヘイトスピーチの問題であり、レズビアンないしゲイの個々の「当事者」が、実際の私生活の上で主体的・自発的に異性と恋愛やSEXを営む場合がありうることについて何ら干渉・否定するものではありません。またそのような場合についても、そうした個別の事例を一個人の私生活の問題ではなくレズビアンおよびゲイという“属性”の枠組みで捉えた上で、レズビアンおよびゲイに対して《異性を愛する可能性》に“開かれる”ことを要求・期待するための論拠に利用・喧伝するといった「表現」は、戒められるべきではないでしょうか。

あるいは制作者が、レズビアンないしゲイという“属性”の枠組みに“囚われる”ことなく、人間同士が愛し合うことの“尊さ”“悦び”のようなものを表現したいのだとすれば、なおのことレズビアン」「ゲイ」「ノンケ」などの“属性”を強調するのは矛盾しています。また人間同士が愛し合うことの“尊さ”“悦び”を表現する上で、同性愛者(非異性愛者)に《異性を愛すること》を要求・期待する試みは、「愛」や「性」を《同性愛者(非異性愛者)差別》の道具として使用する行為であり、むしろ性嫌悪・性恐怖を助長する表現でしかありません。

元より、動画の制作者、および記事の執筆者に《同性愛者(非異性愛者)差別》を行使・煽動する意図はなく、また動画に出演するレズビアンおよびゲイの「当事者」らが作品の内容に納得していたとしても、当該の表現の社会的・政治的文脈における差別性になんら無自覚・無頓着である意識のありよう自体が、それこそ無意識の内に《同性愛者(非異性愛者)差別》に加担する「差別意識のありようとして、批判に値すると考えます。

つきましては、貴サイトにおける問題の二つの記事、およびそれらを貴サイトのTwitterアカウント上で宣伝する当該ツイートの削除を要請いたします。

なお本文は当ブログ「百錬ノ鐵」上でも公開しております。

http://d.hatena.ne.jp/herfinalchapter/20160106/p1

また併せまして、貴サイトよりいただけるであろうご回答は、ブログ「百錬ノ鐵」にてすべて公開し、また今後の私のあらゆる言論活動においても参照・引用させていただくこととします。何卒、ご回答には責任をもっていただけますようお願いいたします。

末筆ながら、貴サイトがLGBT当事者の立場からLGBT差別を擁護するといった愚に陥ることなく、現実のLGBT当事者の置かれている社会的・政治的状況や立場性にじゅうぶん配慮した上での慎重かつ誠実な情報発信に努めていただけますよう、重ねてお願いを申し上げる次第です。

オッシー

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なお「GENXY」では、レズビアンが初めて男のペニスを触ってみると…?(動画)』という記事も公開している。

http://genxy-net.com/post_theme04/14161l/

ただし、この記事の元になった動画「Lesbians Touch Penis For The First Time!」は上掲の「The Human Experiment」に関連したものではなく、レズビアン当事者のユーチューバ―が自ら制作した作品であるということなので、とりあえず今回の抗議の対象からは外すことにした。